平湯ひらゆ)” の例文
「それはありますとも、いくらもございますよ。第一、この谷を後ろへめぐって飛騨ひだの国へ出ますと、平湯ひらゆの湯といって、いいお湯があるそうです」
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
作蔵 今年ことしも十六日からの盆踊りで、あの人ぐらいいい声のはいなかった。宮の次郎でも、平湯ひらゆの又さんだとて、岩瀬いわせの角三郎だって、較べ者にはならなかったね。
中山七里 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
この平湯温泉から安房峠あばうたうげといふを越えて約四里、信州白骨へ通ずるのである。即ち白骨、上高地、平湯ひらゆ其他の諸温泉が相結んで一個の燒嶽火山を圍んでゐるのである。
この近所では、飛騨の平湯ひらゆの温泉、蒲田峠がまだとうげの蒲田の温泉というの、それから上高地の温泉も、これを山の裾越しに北へ行くと、あんまり遠くないところにあります。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
止むなく其處から寒月に照らされながら更に二里の山路を歩いて平湯ひらゆ温泉といふに辿たどり着いた。
途中一つ信州松本への廻り道があっただけ、安房峠あぼうとうげを越えてしまえば、平湯ひらゆまでは二里に足らぬ道。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
すれば自分は飛騨ひだ平湯ひらゆをめざして行こうかな。そうでもした方がよい。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)