前髮をこがすやうな恰好で坐つて、四方あたりは血の海、後ろへ廻つて見ると、鋭い切出しが、左肩胛骨ひだりかひがらぼねの下へ、眞つ直ぐに突つ立つて居たのでした。
死骸は一應清めて、店の次の六疊に、床を敷いて寢かしてありますが、脇差か何んかで、背中からやられたらしく、左肩胛骨ひだりかひがらぼねの下に傷を受けてをります。
銭形平次捕物控:274 贋金 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
傷はたつた一箇所、後ろから左肩胛骨ひだりかひがらぼねの下、心臟の眞つ唯中をつらぬいて、曲者の卑怯さは見る者を齒噛みさせますが、その代り聲も立てずに死んだことでせう。
細身の匕首あひくち左肩胛骨ひだりかひがらぼねの下から心の臟を一と突きにしたもので、刄が正しく水平になつて居るのが特色です。
手燭を持つて中に入ると、次の六疊の長火鉢の前に、お幾の父親の豊年坊主は、背中から左肩胛骨ひだりかひがらぼねの下を刺され、巨大な虫のやうに死んでゐるではありませんか。
傷は背後から一と突き、左肩胛骨ひだりかひがらぼねの下に、素袷すあはせを通して、恐ろしい正確さで叩き込んであります。
左肩胛骨ひだりかひがらぼねの下を狙はれましたが、危ふく身をかはして、脇の下を縫つて流れました。
お勢の背、——左肩胛骨ひだりかひがらぼねの下に突立つた細身の匕首を、萬七は指さすのです。
左肩胛骨ひだりかひがらぼねの下、短刀で深くやられてゐる。一とたまりもなかつたらうよ」
「此通りだ、一人で自棄酒やけざけか何んか飮んでゐるところを、そつと廊下に忍び込んで、障子越しに一と思ひに突つ込んだのだ。死骸を見るとわかるが、傷は左肩胛骨ひだりかひがらぼねの下で、胸へ突き拔ける程の手際だ」
銭形平次捕物控:180 罠 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)