巋然きぜん)” の例文
はしりて場を出づれば、月光あまねく照して一塵動かず、古の劇場の石壁石柱は巋然きぜんとして、今のれ小屋のあなたに存じ、廣大なる黒影を地上に印せり。
その時余は大概四十何人の席末を汚すのが例であったのに、先生は巋然きぜんとして常に二三番をくだらなかったところをもって見ると、頭脳は余よりも三十五六枚がた明晰めいせきに相違ない。
琴のそら音 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
竟に巋然きぜんとして宇宙の根柢より来たれるを確めたり。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)