屑拾くずひろ)” の例文
この屑拾くずひろいの女は、恩を被ってるものと見えて、三人の門番の女に、何とも知れぬ笑顔を作っていた。彼女らは次のようなことを話していた。
おっかさんは屑拾くずひろいだってしてみせるから、おまえたちも自分のお小遣や、学校の給食費ぐらいは、自分でかせぐつもりになっておくれ。——それは嘘ではなかった。
季節のない街 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
パヴェー街まで行った時、屑拾くずひろいの女のことが彼の頭に浮かんだ。彼は独語した。
それは三人の門番の女と、かごを負い鉤杖かぎづえを持った屑拾くずひろいの女とであった。