尾籠びく)” の例文
私はこの国の少年がみなやるように、小さな尾籠びくを腰に結んで、幾本も結びつけた毛針を上流から下流へと、たえまなく流したりしていた。鮎はよく釣れた。
幼年時代 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
町人は煙草たばこを吸いつけて、尾籠びくの中をのぞきこんだ。尾籠の底には、魚のこけらもなかった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
尾籠びくをつけたおときが立ってゐる。「もうどの位な?」
夏蚕時 (新字旧仮名) / 金田千鶴(著)
荷物を背負った町人の影法師が、どての上から尾籠びくの側へ落ちている。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)