室生むろふ)” の例文
或日又遊びに来た室生むろふは、僕の顔を見るが早いか、団子坂の或骨董屋に青磁の硯屏けんびやうの出てゐることを話した。
身のまはり (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
但し僕をその小言こごとの前に降参するものと思ふべからず。僕には室生むろふ苦手にがてなる議論を吹つかける妙計めうけいあり。
田端人 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
室生むろふの陶器を愛する病は僕よりも膏肓かうくわうにはひつてゐる。もつとも御同様に貧乏だから、名のある茶器などは持つてゐない。しかし室生のコレクシヨンを見ると、ちやんと或趣味にまとまつてゐる。
野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)