宙外ちゅうがい)” の例文
小説家後藤宙外ちゅうがい氏が鎌倉に住んでいたころのことであると云うから、明治三十年前後のことであろう、その時鎌倉の雪の下、つまり八幡宮はちまんぐうの前に饅頭屋まんじゅうやがあって
二通の書翰 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
船は早や港を出るよと思えど窓外をのぞく元気もなし。『新小説』取り出でて読む。宙外ちゅうがいの「血桜」二、三頁読みかくれば船底にすさまじき物音して船体にわかに傾けり。皆々思わず起き上がる。
東上記 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
それは古白君は今の抱月、宙外ちゅうがい諸君と共に早稲田の専門学校に在って頻りに「運命」とか「人生」とかいう事を口にしていたので、元来それが余り気に入らなかった居士は一矢をむくいたのである。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)