妻楊枝つまやうじ)” の例文
と言ふ使の口上を半分も言はせず、平次は妻楊枝つまやうじを叩き付けるやうに、ガラツ八をうながして、横山町へ驅け付けました。
ガラツ八は自分のふところ見たいな顏をして、鷹揚おうやうに勘定をすると、若干なにがしか心付けを置いて、さて妻楊枝つまやうじを取上げました。
「お前は默つてゐろ、——横町の御浪人は、鎧通よろひどほしで内職の妻楊枝つまやうじけづつてるぢやないか、御用聞き風情が、唐紙の穴を塞いだところで、御政道の瑕瑾かきんにはならないよ」
平次は妻楊枝つまやうじををポイと捨てて、熱い番茶を一杯、やけにガブリとやります。