妥協だけふ)” の例文
平次の言葉には、妥協だけふも駈引もありませんでした。大場家をつぶすか、石見が隱居をするか、この二つより外には道がありさうもなかつたのです。
孔孟こうまうの道は尊ばれたやうでも、実は文章詩賦が流行はやつたのみで、仏教は尊崇されたやうでも、実は現世祈祷きたうのみ盛んで、事実に於て神祠巫覡しんしふげきの徒と妥協だけふを遂げ、貴族に迎合げいがふ
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
八が物置から持つて來たのは、三間あまりの麻の丈夫な細引で、死骸を取おろす時、一端は切つてあり、結び目は嚴重で、妥協だけふの無い男結びです。
下女のお六の言葉は恐ろしく嚴重で、少しの妥協だけふも許さないものでした。
平次は僅かに妥協だけふしました。靜かながらきつとした調子です。
これは底の底まで見通さうとする、妥協だけふのない問ひです。