「おお、性善坊しょうぜんぼうに、太夫房覚明たゆうぼうかくみょうか」綽空は、初めて、くちをひらいた。彼の眼にも、きらと、涙が光った。二人は、ほのおのような呼吸いき
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
のり御山みやまにおいて暴力を働くものこそ、仏賊だ、仏敵だ。く、消えうせぬと、太夫房覚明たゆうぼうかくみょうがただはおかぬぞ」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただこの際、性善坊にとって心づよいことは、新しく弟子となった太夫房覚明たゆうぼうかくみょうが、範宴の身を守ることは自分の使命であるかのように、範宴のそばに付いて、見張っていてくれることであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)