大外套おおがいとう)” の例文
しょうの肌身はそこで藻抜けて、ここに空蝉うつせみの立つようなお澄は、呼吸いきも黒くなる、相撲取ほど肥った紳士の、臘虎襟らっこえり大外套おおがいとうの厚い煙に包まれた。
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これだけの事を考えて、小川君はとうとう探検に出掛ける決心をしたそうだ。無論便所に行くにだって、毛皮の大外套おおがいとうを着たままで行く。まくった尻を卸してしまえば、寒くはない。
鼠坂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)