ことに慶喜が懐刀ふところがたなとも言うべき水戸出身の原市之進いちのしんとは絶えざる暗闘反目を続けていたのも薩摩の大久保一蔵おおくぼいちぞうだ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)