埃塵ほこり)” の例文
縫ふやうにへりに並んで生えてゐる楊柳やうりうの緑についさつきから吹き出した蒙古風もうこかぜがすさまじくきいろ埃塵ほこりを吹きつけてゐるのを眼にした。
(新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
小停車場は、埃塵ほこりをかぶって白かった。
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
白い埃塵ほこりに包まれて入つて来るが、それを聞くと、支配人もコツクもボーイも誰も彼も皆その周囲に集つて行つて、何等かの期待をそれに持つのである。
山のホテル (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
『小さくなつたな? これでも北上川だよ。何でもその観音堂のあるのは、あの村の向うあたりだよ』かう言つて私は山の裾に屈曲して見えてゐる赤ツちやけた埃塵ほこりつぽい国道を妻に指して見せた。
水源を思ふ (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)