坂上サカノヘ)” の例文
常夜往トコヨユクと言ふ古事記の用例は、まづ一番古い姿であらう。「とこよにも我が往かなくに」とある大伴坂上サカノヘ郎女の用法は、本居宣長によれば、黄泉の意となる。此は少し確かさが足らない。
而もウブな形は、年月を経ても残つてゐた。大伴オホトモ坂上サカノヘ郎女イラツメの別れを惜しむ娘を諭して「常夜にもわが行かなくに」と言うてゐるのは、後世の用語例をも持ちながら、原義を忘れて居ない様である。