吉祥寺きっしょうじ)” の例文
曙町の通から吉祥寺きっしょうじ前まで、広く取払われて道路になるので、私どもの家並は皆取崩されるのですから、荷物を山と積上げたトラック、馬力ばりきで一杯です。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
吉祥寺きっしょうじの横手の門まで来ると、かなりな家の葬式でもあるのでしょう、今日は開放あけはなしになっていて、印半纏しるしばんてんの男たちが幾人か立廻っていますし、人込ひとごみを透かして
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
吉祥寺きっしょうじの方からお帰りになるのでしょう。馬場はもとより、宅の並びにも門灯の附いているのは一、二軒ですから、月もない頃で、下駄の音がまだ聞えるのに、もう姿は見えません。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)