吉光きっこう)” の例文
「おお、入らせられませ」若後家の吉光きっこうまえは、とばりの蔭に、添寝そいねして寝かしつけていた朝麿あさまろのそばからそっと起きてきて、敷物をすすめた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
母の吉光きっこうの前と源三位頼政とは、おなじ族の出であるし、そのほか、この河原には、幾多の同血が、しかばねとなっているのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まあ」ゆくりなく、そこの南縁のだまりに、乳のみ児を抱いた吉光きっこうまえと、有範ありのりとの夫婦が、むつまじく、児をあやして、くつろいでいた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)