合切がっさい)” の例文
旧来の陋習ろうしゅうを破ったらどうだというんだ。一切合切がっさいを前例に守っていたら、人間はいまだに、人間の肉を食って、生活しなければならないんだ。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
私は一切合切がっさいぶちまけちまう。そうなれば無論私も罪におちるが、あなたは身の破滅だ。生きちゃいられない。だからさ、私のいうことを承知する外はないのだ。
一寸法師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
なんによらず一切合切がっさいもらうことにしておいて、いっこう差閊さしつかえない。
浴槽の花嫁 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
で、おもてでは、一切合切がっさいがギリギリ一杯であった。食卓は、用事が済むと、室のまん中に立っている柱に添うて上につり上げられるにしても、やはり一杯一杯であった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)