参勤さんきん)” の例文
春鴻しゅんこうの去るが如く、春燕しゅんえんの来るが如く、参勤さんきん交代の制によりて、江戸とその領地との間を去来したるの外は、日本国内の往来おうらい交通すら殆んど自由ならざりしなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
年が明けて宝暦四年の三月、参勤さんきんのいとまで帰藩した長門守宗寿ながとのかみむねとしとともに、定高半兵衛も帰って来た。
艶書 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
南より北へ歩みを運ぶ春とともに、江戸を志して参勤さんきんみちに上ろうとしているうち、はからず病にかかって、典医の方剤も功を奏せず、日に増し重くなるばかりなので
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
参勤さんきんの折は、道中の駅々にて、なんらかの事変の起るのを、それとなく待ったこともある。
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)