冲天ちゅうてん)” の例文
それで麓の亀もよちよち登って行けばいつかは鶴と同じ高さまで登れる。しかしこの天井を取払うと鶴はたちまち冲天ちゅうてんに舞上がる。
変った話 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
かの日蓮上人が意気冲天ちゅうてん、他宗を罵倒し、北条氏を目して、小島の主らが云々と壮語せしに比べて、吉水一門の奇禍につらなり北国の隅に流されながら
愚禿親鸞 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
その冲天ちゅうてんの姿こそ、若きカリフォルニヤのシンボルである。これを無用の長物と呟かしめる事は当事者の恥である。
バークレーより (新字新仮名) / 沖野岩三郎(著)
よした方がよい。だが道庵の意気は冲天ちゅうてんの勢いで、留めて留まらぬ勇ましさは、その足どりでもわかります。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
終日の宴に呉侯は大酔して眠っていたところであったが、聞くや否、冲天ちゅうてんの怒気をなして
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)