冢穴つかあな)” の例文
夜の詩人と冢穴つかあなの詩人とはことわりの使をおこせたり。そは屍の血を吸ふワムピイルのわずかに墓中より出でたるに会ひて、興ある対話をなす最中なるが故なり。
冢穴つかあなの入口でも、自然は永遠に美しく輝いてゐるといふ詞があつたつけ。平凡な話だ。馬鹿な。こつちとらはもうそんな事を言ふやうな、幼稚な人間ではない。そんな事はどうでも好い。
『カトリック』教の国にはあまになる人ありといへど、ここ新教のザックセンにてはそれもえならず。そよや、かの羅馬教ローマきょうの寺にひとしく、礼知りてなさけ知らぬ宮の内こそわが冢穴つかあななれ。
文づかひ (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
『カトリック』教の国には尼になる人ありといえど、ここ新教のザックセンにてはそれもえならず。そよや、かのロオマ教の寺にひとしく、礼知りてなさけ知らぬ宮のうちこそわが冢穴つかあななれ。
文づかい (新字新仮名) / 森鴎外(著)
冢穴つかあなにしも異ならず。
冢穴つかあなの入口にて
さんしとね、死の冢穴つかあな