文政十年七月のすえに、おいの家の板のからちて怪我けがをして、当時流行した接骨家元大坂町もとおおさかちょう名倉弥次兵衛なぐらやじべえに診察してもらうと、名倉がこういったそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)