信濃境しなのざかひ)” の例文
さうして信濃境しなのざかひにさしかかる頃には、おあつらへむきに雨もすつかり上がり、富士見あたりの一帯の枯原も、雨後のせゐか、何かいきいきと蘇つたやうな色さへ帯びて車窓を過ぎた。
辛夷の花 (新字旧仮名) / 堀辰雄(著)