伽草子とぎぞうし)” の例文
そうして、その次に、「惜別」という魯迅ろじんの日本留学時代の事を題材にした長篇と、「お伽草子とぎぞうし」という短篇集を作り上げた。
十五年間 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それが古典の太平記に用いられてから謡曲、民劇、小説などでさらに一般化したのである。室町期の記録もの、お伽草子とぎぞうし
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうかと思うと、お綱はまた、お伽草子とぎぞうしの拾い読みに、はかない女の恋物語などを見出して、弦之丞げんのじょうのことに思いくらべ、思わず知らず一日を暮らしてしまうこともある。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おまえも少し、狂人きちがいにかぶれてきたな。あの牢人者はお伽草子とぎぞうしの黄金の塚でもほん気にして、野たれ死にするまで、掘りちらしているだろうが、おまえはまだ鼻たれンぼのくせに、今から自分の墓穴を
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)