人車じんしゃ)” の例文
人には遠く離れた広間の真中に、しんとして寝ているような心持である。表の通りでは砂利をかんで勢いよく駈ける人車じんしゃ矢声やごえも聞える。
枯菊の影 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
わたくしは人車じんしゃ鉄道に乗って小田原へ着きましたのは、午前十一時ごろでしたろう。
停車場の少女 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
わたくしは人車じんしゃ鉄道に乗つて小田原へ着きましたのは、午前十一時頃でしたらう。好い塩梅あんばいに途中から雲切れがして来まして、こまかい雨の降つてゐる空の上から薄い日のひかりが時々にれて来ました。