井目せいもく)” の例文
午後二時ごろ、お昼飯ひるはんをたべに、麻布あざぶ竜土軒りゅうどけんへ行き、清子は井目せいもくをおいて、泡鳴と碁を二回かこんだが、二度とも清子がけた。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
根は非常にお人好しで碁は僕に井目せいもくおいても勝てないヘタであったが、熱中して打っていた。彼氏の賭場に於ける亢奮落胆が忍ばれるようであった。
日月様 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「そんなら話せる。兎に角一番やって見給え。井目せいもく置いて僕にかゝって来たまえ」
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そのころ僕は田舎初段に井目せいもく置いて勝味のない手並であつた。食堂の親爺は、その僕に井目置いて、こみを百もらつて、勝てないのである。そのくせ碁が夫婦喧嘩の種になるほど大好きだ。
囲碁修業 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)