斬られたのは位のある人——これだけの話の筋を辿たどれば、かの主水正正清もんどのしょうまさきよの長刀を帯していた新兵衛が、あの刀で誰をか斬ったものだろう。
その刀は縁頭ふちがしらが鉄のくさりで、そこに「田中新兵衛」と持主の名前が明瞭にきざんであった。中身は主水正正清もんどのしょうまさきよこしらえはすべて薩州風、落ちていた鞘までが薩摩出来に違いないのであった。
喫驚びっくりしたかな、田中新兵衛だよ、示現流じげんりゅうの、主水正正清もんどのしょうまさきよの田中新兵衛だ」
主水正正清もんどのしょうまさきよじゃ」