主人おやじ)” の例文
そして、私が社へ出かけて行って、主人おやじに金下さいって云うの。小幡が病気で医者にかかるのに金がないから下さいって云うの。
斯ういう気持 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
これを見た古道具屋の主人おやじ、なんとかいってやりたいが、そこに女の眼が光っているからただもじもじ控えているばかり——。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
法螺吹ほらふき、いかさまの、ペテン師の、この乾物屋の主人おやじのような奴ばかりうようよしている、これがマルセーユだ!
その製粉機会社の主人おやじってのが、仲仕上りで、金なんぞ一文だって只出すという奴じゃあないんです。——厭な顔してね、何処が悪いんだって訊くの。
斯ういう気持 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
……津国屋の主人おやじから利七が同じ七月の十五日に手紙で誘い出されたまま帰って来ないということを聞いた時、利七はもうこの世のものでなかろうと予察したが、矢張りおれが見込んだ通りだった。