不愛嬌ぶあいきょう)” の例文
おまけに彼は、舞台ではいろ/\の道化役を勤めて居たのに、見物席へ現れると別人の如く真面目になって、不愛嬌ぶあいきょうを極めて居る。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
第一に彼らは普通の兄妹として親しい間柄あいだがらであった。だから遠慮のらないという意味で、不愛嬌ぶあいきょう挨拶あいさつが苦にならなかった。第二に彼らはどこかに調子の合わないところをもっていた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
歌舞伎座の楽屋における総浚そうざらいの時だけで、個人としては全然面識もなかったが、見るところ、若い芸人には似合わない不愛嬌ぶあいきょうな、いわゆる傲岸不屈ごうがんふくつといったような人物であるらしかった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)