糟谷が上京以来じょうきょういらいたえず同情どうじょうせて、ねんごろまじわってきた、当区とうく畜産家ちくさんか西田にしだという人が、糟谷の現状げんじょうを見るにしのびないで、ついに自分の手近てぢかさしたのであるが、糟谷が十年んでおった
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)