一衣帯水いちいたいすい)” の例文
しかし、常陸との国境は、一衣帯水いちいたいすいだ。将門にすれば、それだけでも、枕を高うしてはいられない。警戒の理由は、充分にある。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
志士の口をかんして、強いて無事を装わんとするに際し、他方においては、海外の形勢いよいよ切迫となり、一衣帯水いちいたいすいを隔てたる清国しんこくは、今や英国と事を生じ
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
けれども翻って利害の関係よりいえば、日本が一番その大なるものである。即ち距離からいえば、他のいずれもはなはだ遠いのに反して、日本は一衣帯水いちいたいすいへだつる隣国である。
三たび東方の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
堺あたりから、中国路の備前、備中などへは一衣帯水いちいたいすいの近くである。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)