一弾指いちだんし)” の例文
されど人生いくばくもあらず。うれしとおもふ一弾指いちだんしの間に、口張りあけて笑はずば、後にくやしくおもふ日あらむ。
うたかたの記 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
が、少将の読むのを聞けば、おれの名前がはいっていない。おれだけは赦免にならぬのじゃ。——そう思ったおれの心のうちには、わずか一弾指いちだんしあいだじゃが、いろいろの事が浮んで来た。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ずっと遠くから見ると一弾指いちだんしかんに過ぎん。——一弾指の間に何が出来る
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)