“しせいじん”の漢字の書き方と例文
語句割合
市井人100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
見張の男の死貌しにがおはまことにおだやかであったけれども、人間のあらゆる秘密を解き得て死んで行った者のかおではなかった。平凡な、もはや兵隊でない市井人しせいじんの死貌であった。
桜島 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
当然風雅の間によわいせられなかった市井人しせいじんの以前の生活を、古い文芸の偶然なる記録の中から、探し尋ねてみようとした熱情は多とすべきであるが、なおその題目の都府に偏し
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
この一市井人しせいじんのこれまでの長い一生、震災で私の母を失ってからの十何年かのさびしい独居同様の生活、ことに病身で、殆んど転地生活ばかりつづけていた私を相手のたよりない晩年
花を持てる女 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)