父の怪談ちちのかいだん
今度はわたしの番になった。席順であるから致し方がない。しかし私には適当な材料の持ち合わせがないので、かつて父から聴かされた二、三種の怪談めいた小話をぽつぽつと弁じて、わずかに当夜の責任を逃がれることとした。 父は天保五年の生まれで、その二十 …