つれ)” の例文
鹿でもって御馳走しべいから、何だか馴染の人に別れるのはつれえもんだね、うかまア成るたけ煩らわねえように気い付けて、いかね
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「そんだがれお内儀かみさんらあからなんぞにやつめあかだからわしなんざつれえもかなしいもねえはなしなんだが」かれ自分じぶん不運ふうんうつたへるのに
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「腕に職を付けるのはつれえさ」と栄二は続けた、「考えてみな、葛西へ帰ったって、朝から晩まで笑ってくらせやしねえだろう、それとも百姓はごしょうらくか」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「なんぼ貧乏しても、田作る百姓、飯だけ喰えんだから。ね、早く帰って、つれえくっても、つらくて死ぬようなごとねえんだから、悪いごど言わねえ、辛抱していんでえす。」
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
だが己にゃあ運がねえんだ、まったくよ。己は降参しなくちゃならねえようだ。船長をしたこともある人間が、お前みてえな小僧っ子に降参するなあ、つれえこったよ。なあ、ジム。
「用があるから止めたのよ。うぬらアたしかに駈落ち者、うめえ事をしたばちに、これからつれえ目を見せてやる! やいおいらを何んだと思う! 様子でも知れよう泥棒様だ! 地丸左陣の手下だわえ!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
喧嘩に往くと今度は助かりゃアしねえぞ、喧嘩に往くのならおらア見るのがつれえから、手前てめえ今度出たら再び生きてけえるな
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おつかゞくつちやつれえつてあとかれんのだからちゝかぢつてもそんな料簡れうけんさねんだ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わしのような人間にもこんな情ねえつれえことがあるんだ。
母「別れエつれえたッておっぬじゃアなし、関取がに逢って敵いって目出度くけえって来たらえじゃアねえか」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
くれえなくつちややうねえもの、此處ここ當座たうざにや病氣びやうきときでもからつき挽割麥ひきわりばかしのめしなんぞおんされて、隨分ずいぶんつれつたんだよ、こんでさうえこた
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これが叔父さんの顔の見納めになりはしめえかと思えば、一里でも二里でも踏み出すのは実につれえ事でがんす
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
どんなつれえ事をしてもうちの為めに働きやすから、我慢して居ておくんなさいよ、うち大事でえじでがんすよ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
角「馬鹿なことを云うもんじゃアねえ、年イいかねえって、母様かゝさまに小言云われるのがつれえもんだから、焼け死ねばいなんぞと、かりそめにもそんなことを云っちゃア済みやしねえよ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)