踏留ふみと)” の例文
「はい、」と柳の下で、洗髪あらいがみのお品は、手足の真黒まっくろな配達夫が、突当つきあたるように目の前に踏留ふみとまって棒立ぼうだちになってわめいたのに、驚いた顔をした。
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「はい、」とやなぎしたで、洗髮あらひがみのおしなは、手足てあし眞黒まつくろ配達夫はいたつふが、突當つきあたるやうにまへ踏留ふみとまつて棒立ぼうだちになつてわめいたのに、おどろいたかほをした。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いてストンと貴女あなたくつうらかへしてげた、げるとるとはやこと!……卷狩まきがりゐのしゝですな、踏留ふみとまつた學生がくせい突退つきのけて、眞暗まつくら三寶さんばう眞先まつさき素飛すつとびました。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れば、虚空こくうを通りがかりぢや。——御坊ごぼうによう似たものが、不思議な振舞ふるまいをするにつて、大杉おおすぎに足を踏留ふみとめて、葉越はごしに試みに声を掛けたが、疑ひもない御坊とて、拙道せつどうきもひやしたぞ。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しかして、踏留ふみとまって、にらむかと目をみはった。
若菜のうち (新字新仮名) / 泉鏡花(著)