見舞みまい)” の例文
「お見舞みまい方々かたがたも、つぎにお引取ひきとりなすってはどうじゃの、御病人ごびょうにんは、出来できるだけ安静あんせいに、やすませてあげるとよいとおもうでの」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
そこで蜂矢は中へはいって、見舞みまいをのべた。それからかんたんに、その後、邸内ていないにおけるかわったことはないかとたずねた。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
鹿しかの黄いろな横っ腹なんぞに、二三発お見舞みまいもうしたら、ずいぶん痛快だろうねえ。くるくるまわって、それからどたっとたおれるだろうねえ。」
注文の多い料理店 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ヘクトーは多くの犬がたいていかかるジステンパーという病気のために一時入院した事がある。その時は子供がよく見舞みまいに行った。私も見舞に行った。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
中食後ちゅうじきごミハイル、アウエリヤヌイチはちゃを四半斤はんぎんと、マルメラドを一きん持参って、かれところ見舞みまいた。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
わたくしちちも、ははも、それからわたくし手元てもとめし使つかっていた、忠実ちゅうじつ一人ひとり老僕ろうぼくなども、わたくし岩屋いわやとき前後ぜんごして歿ぼっしまして、その都度つどわたくしはこちらから、見舞みまいまいったのでございます。
私もかねて病気と聞き見舞みまいきたいと思ったが、何をいうにも前述の如き仕儀しぎなので、かえって娘のめに見舞みまいにもけず蔭ながら心案じていたのである、さいわいに心やさしい婢女げじょの看護に
二面の箏 (新字新仮名) / 鈴木鼓村(著)
見舞みまいにとことらねばこゝろならねど、お使つかさきの一すんとても時計とけい目當めあてにして幾足いくあし幾町いくてうそのしらべのるしさ、けても、とはおもへど惡事あくじといへば折角せつかく辛棒しんぼう水泡むだにして
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おごろもちはうちにか とうらごどんのお見舞みまいじゃ
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いえいえ、うそでもゆめでもござんせぬ。あたしゃたしかに、このみみいてました。これからぐに市村座いちむらざ楽屋がくやへお見舞みまいってとうござんす。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「へん。たれか何か云ってるぜ。赤いお方だろうか。鼠色ねずみいろのお方だろうか。一つ鉤をお見舞みまいしますかな。」
双子の星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「あなたに見舞みまいに来ていただけるような所じゃありません。狭くって汚なくって変な部屋なんですから」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
つづいてダリュシカもなんともえぬかなしそうなかおをして、一時間じかん旦那だんな寐台ねだいそばにじっとたったままで、それからハバトフもブローミウム加里カリびんって、やはり見舞みまいたのである。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「あたしゃ駕籠かごそばって、せめて太夫たゆうさんに、一ことでもお見舞みまいがいいたいンだから。……」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
病中は知ると知らざるとを通じて四方の同情者から懇切な見舞みまいを受けた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
無沙汰ぶさた見舞みまいかたがた少し歳暮に廻って来ました」
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)