裏木戸うらきど)” の例文
裏木戸うらきどのそとに女のすがたがある。しきりに手招きしているのだ。その手招きにい寄せられるように、園絵は二、三歩、そっちへよろめいた。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
僕は裏木戸うらきどへ顔を出しながら、「どうだね? めしけるかね?」と言つた。が、O君はふり返ると、僕の問には答へずにあたりの松の木へあごをやつた。
O君の新秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
わたし跣足はだしで庭へ駈下かけおりました。けつけて声を出しますと、烏は其のまゝ塀の外へ又飛びましたのでございます。ちょう其処そこが、裏木戸うらきどところでございます。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
裏木戸うらきどそとますと、そこにはまたお稻荷いなりさまのあかちひさなやしろそばおほきなくりつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
むら人達ひとたち——ことをんな人達ひとたちとほ裏道うらみちならんだ人家じんかふてむら裏側うらがはほそくついてました。とうさんのおうち裏木戸うらきどから、竹籔たけやぶについてまはりますと、そのほそ裏道うらみちました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あの、井戸ゐどそばを、にはつて裏木戸うらきどから、勝手かつてつてたらしい。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とうさんはおうち裏木戸うらきどそとをさん/″\あそまはりまして、木戸きどのところまでかへつてますと、たか枳殼からたちうへはうたまごでもみつけようとしてるやうなおほきなくろ蝶々てふ/\つけました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)