ゆか)” の例文
申さば父の越度をちどとなりまたいはずば吉三郎は殺さるべし兩方まつたきやうには何事もゆかざれども能々よく/\かんがへてこゝろしづかに双方さうはう無事になるやうの御答おこたへ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
○かくて産後さんご日をてのち、連日れんじつの雪も降止ふりやみ天気おだやかなる日、よめをつとにむかひ、今日けふ親里おやざとゆかんとおもふ、いかにやせんといふ。
はらゆかふとおもつてます。』と自分じぶんがこれにおうじた。おもつてるどころか、今現いまげんきつゝあるのだ。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
どうでも詰らぬ恋を商買しょうばい道具の一刀にきっすて、横道入らずに奈良へでも西洋へでもゆかれた方が良い、婚礼なぞ勧めたは爺が一生の誤り、外に悪い事おぼえはないが
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
千里ちさとのほかまでと思ひやるに、添ひてもゆかれぬ物なればただうらやましうて、これを仮に鏡となしたらば、人のかげも映るべしやなど、果敢はかなき事さへ思ひ出でらる。
あきあはせ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
病気と云って学校へもゆかず打臥して居たが、点燈頃ひともしごろむっくりおき戸外おもてへ出で、やがて小さな鉄鍋に何やら盛って帰って来て、また床に這入って夜の一時とも思う頃徐々そろそろ頭を挙げ
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
此処こゝ百姓ひやくしやうわかれてかはいしうへゆかうとしたが猶予ためらつたのは売薬ばいやくうへで。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人は進歩しようと思ふには一歩/\自修してゆかねばならぬといふことです。
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
秋にそうゆかばや末は小松川こまつがわ 芭蕉翁
放水路 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
片付かたづけ支度致したくいたすに付て金銀の入用有べし太儀たいぎながら諸所へゆかれ金子を與へ給へとて二百五十兩相渡せしかば心得候と出行いでゆく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ここを我慢して謝罪わびがてら正直にお辰めを思い切れと云う事、今度こそはまちがった理屈ではないが、人間は活物いきもの杓子定規しゃくしじょうぎの理屈で平押ひらおしにはゆかず、人情とか何とか中々むずかしい者があって
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あそすごしてつかすてしとは合點がてんゆかねど其方が打叩うちたゝかれても一言の言譯いひわけさへもせざりしゆゑ如何成いかなる天魔てんまみいりしかと今が今迄思ひ居たるに全く若旦那の引負を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
是はまあどうした訳と二三日は気抜きぬけする程恨めしくは存じたれど、只今ただいま承れば御親子ごしんしの間柄、大切の娘御を私風情のいやしき者に嫁入よめいらしてはと御家従ごけらいのあなたが御心配なすッてつれゆかれたも御道理
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)