立地たちどころ)” の例文
「えッ、御腹痛、それには幸い、大森で求めた和中散わちゅうさんを、一服召上ると、立地たちどころ本腹ほんぷく致しまする」と宗匠、心配した。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
藥種屋 (藥瓶を渡しながら)これをばおこのみの飮料いんれうれてませられい。たとひ二十人力にんりきおじゃらしませうとも、立地たちどころ片附かたづかッしゃりませう。
大家たいか家夫わかいものを尽して力たらざれば掘夫ほりてやとひ、幾十人の力をあわせて一時に掘尽す。事を急に為すは掘る内にも大雪下れば立地たちどころうずたかく人力におよばざるゆゑなり。
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
此時はかならず暴風はやて雪をきちらし、凍雲とううんそらしき白昼はくちう立地たちどころ暗夜あんやとなる事雪頽なだれにおなじ。
ロミオ さいはよるころもてゐる、見附みつけらるゝはずはない。とはいへそもじあいせられずば、立地たちどころ見附みつけられ、にくまれて、ころされたい、あいされぬくるしみをのばさうより。
暖国の雪一尺以下ならば山川村里立地たちどころに銀世界をなし、雪の飄々ひょうひょう翩々へんぺんたるを観て花にたとへ玉に比べ、勝望美景を愛し、酒食音律の楽を添へ、に写しことばにつらねて
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
北高和尚はすこしもおそるゝいろなく口に咒文じゆもんとなへ大声たいせい一喝いつかつし、鉄如意てつによいあげて飛つく大猫のかしらをうち玉ひしに、かしらややぶれけん血ほどはしりてころもをけがし、妖怪えうくわい立地たちどころ逃去にげさりければ
北高和尚はすこしもおそるゝいろなく口に咒文じゆもんとなへ大声たいせい一喝いつかつし、鉄如意てつによいあげて飛つく大猫のかしらをうち玉ひしに、かしらややぶれけん血ほどはしりてころもをけがし、妖怪えうくわい立地たちどころ逃去にげさりければ
こりゃ此處こゝに四十りゃうある、わし毒藥どくやくを一もんめほどってくりゃれ、すぐ血管けっくわん行渡ゆきわたって饜果あきはてた飮主のみぬし立地たちどころなすやうな、また射出うちだされた焔硝えんせうおそろしい大砲たいはう胴中どうなかからはげしうきふはしるやうに
こときふすはる内にも大雪くだれば立地たちどころうづたかく人力におよばざるゆゑ也。