)” の例文
この人はよはひぼ我と同じくして、その家は貴族なり。心爽かにして頓智あり、會話もいとたくみなれば、人皆その言ふところを樂み聽けり。
今では浅草の百貨店松屋がぼ元の凌雲閣と同じ程の位置にありますので、凌雲閣から見た悪沢のスケッチを持って来ましたが
望岳都東京 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
おれは首をつて受けなかつた。牛飼君も大いに心配してナ、それから警保局長ならとぼ相談が纏まつた処が、内閣は俄然瓦解しおつた……
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
彼女の打ち明けばなしを聞くと、いつぞや六本木の国民酒場の行列で常連がはなしてゐたのとぼ符合したので、やつぱりさうだつた……。
老残 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
第二、如何に楽な仕事だからとて勤務時間に制限が無く、二時三時の深更まで起きていることは工場の深夜業とぼ同じ害があってよくない。
女給 (新字新仮名) / 細井和喜蔵(著)
そして一つの綱から他の綱へと出てゐる他の糸は、その組み立ての真中に、綱の間に、大きなぼ円形の空間を残して、網をつくる予定をきめる。
菊池君もぼ承知らしい口振りであった、それからもう一つ、こんどの本郷座復興は帝都に於ける大震災後の大劇場の復興としては最初のものである
生前身後の事 (新字新仮名) / 中里介山(著)
お政は昇のこころを見抜いてい、昇もまたお政の意を見抜いている※しかも互に見抜れているとぼ心附いている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
以上に記するところによつて読者は社会的分業の生理的現象と病理的状態とをぼ了察し得たであらう。
社会的分業論 (新字旧仮名) / 石川三四郎(著)
したがつて越後と上野の国界とすべき所もさだまり、利根とね山奥の広袤こうばう概算がいさんするを得たり、此上は上越二国の間によこたはれる利根とねの山脈に攀登はんとうし、国界をさだめて之を通過つうくわ
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
含春がんしゆんまた明敏めいびんにして、こゝろり、おほい當代たうだい淑女振しゆくぢよぶり發揮はつきして、いけすかないとてちゝぐ。ちゝや、今古こんこ野暮的やぼてんむすめれたりとてこれおほやけうつたへたり。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その胸に包まれたものであつて見れば子に對する愛情といふのもぼ推せらるるのである。
一家 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
値段の打ち合せもぼ済んでから余は単身で其の家の下検査に出掛けた、土地は都から四十里を隔てた山と川との間で、可なり風景には富んで居るが、何しろ一方ひとかたならぬ荒れ様だ
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
あくあしたの食後、貫一はづこの狭き畑下戸はたおり隅々すみずみまで一遍ひとわたり見周みめぐりて、ぼその状況を知るとともに、清琴楼の家格いへがらを考へなどして、かはらに出づれば、浅瀬にかかれる板橋の風情ふぜい面白く
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
私の申し上げたいことはぼ尽きました。ではこれで御わかれ致します。永久に。
秘密の相似 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
幾許自分にしてもはたで見ているように理由わけもなく、只々懶けるのでもないが、成程懶けているに違いない。長田は国も同じければ、学校も同時に出、またている職業もぼ似ている。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
併しその事件の蔭にはKのをぢさんが潜んでゐるらしいことは、叔父の口ぶりにつてぼ想像されたので、わたしの稚い好奇心は到頭たうとうわたしをうながしてKのをぢさんのところへはしらせた。
半七捕物帳:01 お文の魂 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
祖五郎は前席ぜんせきに述べました通り、春部梅三郎を親のかたきと思い詰めた疑いが晴れたのみならず、悪者わるものの密書の意味で、ぼお家を押領おうりょうするものが有るに相違ないと分り、わたくしの遺恨どころでない
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぼ前時代と同様なり。
わが俳諧修業 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
種々くさ/″\なる旗章は其さきひるがへれり。光景は拿破里ナポリに似たれど、ヱズヰオの山の黒烟を吐けるなく、又カプリの島の港口によこたはれるなし。
南アルプスの幾つかの山が雪の姿をきらりと垣間見せるのは、展望の場所は何処であろうとも、視野はぼこの滝子本社ヶ丸二山の間に限られている。
望岳都東京 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
恐らく此広い世界でまことの罪人をしったのは己一人だろう、是まで分ッたから後は明日の昼迄には分る、面白い/\、悉皆すっかり罪人の姓名と番地が分るまでは先ず荻沢警部にも黙ッて居て
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
平常ふだんぼ知っている私の離別に事寄せてその場の私を軽く慰めるように言う。
別れたる妻に送る手紙 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
総てこれ等の動静ようすは文三もぼ察している。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
穴は海面うなづらを拔くこと一伊尺ブラツチヨオに過ぎねど、下は百伊尺の深さにて海底に達し、その門閾もんよくの幅も亦ぼ百伊尺ありとぞいふなる。
はじめは木立のまばらな笹の深い山ひらを急に登って、中房川と北中川とを分つ尾根の上に出ると、其処そこは濁ノ頭の三角点に至る距離のぼ中央あたりで
開き「谷間田、何うしたぼ見当がついたかえ」とて入来るは此事件を監督する荻沢おぎさわ警部なり谷間田は悪事でも見附られしが如く忽ち椅子より飛退とびのきて「ヘイヘイ凡そ見当は附きました是からすぐに探りを ...
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
現今のように登山路がぼ完成し、至る所に指導標が建てられ、随所に小屋が設けられて、途中で迷う憂もなく、小屋から小屋へと辿って行きさえすれば
鹿の印象 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
此連脈はぼ西南より東北の方向に走っているので、午前と午後では山貌に著しい変化を起すのが特色である。
望岳都東京 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
外輪山は東北に神奈かんな山、北に大倉山、西に三田原山、南に赤倉山、東に前山があり、ぼ馬蹄形を成して相連り、内壁は懸崖杜絶して、時に数百米に及ぶ所さえある。
ぼ所期の目的を達したので、大菩薩岳は割愛することにして、ぐさま出発すれば無事であったろうに、何と暢気のんきにもシャクナゲのステッキを作る材料にと言うので
初旅の大菩薩連嶺 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
立山山脈に較べると後立山山脈は、高さに於てぼ釣合の取れた長大な山脈を成している。
黒部峡谷 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
然しながらぼ完全に近いカールは、北アルプスは勿論南アルプスにも保存されている。
白馬岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
破風はふ山と雁坂嶺とを西と東とに分って筆を起した為に、国司岳がこの二山の間に位置するが如き有様となったが、金峰きんぷ奥仙丈の山脈を除いた秩父奥山の喬岳は、ぼ羅致してあると思う。
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
中津川の奇景は上流よりも寧ろ中津川村の下流、中双里なかぞうり附近から塩沢村に至る二里の間にあるといわれているが、『新篇武蔵風土記稿』に書かれたような絶勝の地でないことはぼ想像が出来る。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
と記してあり、『日本書紀』の伝えもぼ同様である。
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)