“畢(を)” の例文
俺(お)らにこんで爺樣(ぢさま)が代(でえ)の借金(しやくきん)拔(ぬ)けねえで居(え)んだからそれせえなけりや泣(な)かねえでも畢(を)へんだよ、そんだがそれでばかり動(いご)き取(と)れねえな
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
わたくしは筆を擱(さしお)くに臨んで、先づ此等の篇を載せて年を累(かさ)ね、謗書旁午(ばうしよばうご)の間にわたくしをして稿を畢(を)ふることを得しめた新聞社に感謝する。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
譬へてみたら小鼓の一つの拍子をうち畢(を)へて、次の拍子に移らうとする間(ま)のやうなものなのだ。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
アンキーゼが長生(ながきいのち)を畢(を)へし處なる火の島を治むる者の強慾と怯懦(けふだ)と見ゆべし 一三〇—一三二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
値無き吾が生存は、又同(おなじ)く値無き死亡を以つて畢(を)へしむべき者か。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼れは其天職を畢(を)へしなり。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
勘次(かんじ)は一日(にち)の仕事(しごと)を畢(を)へて歸(かへ)つて來(き)ては目敏(めざと)く卯平(うへい)の茶碗(ちやわん)を見(み)て不審(ふしん)に思(おも)つて桶(をけ)の蓋(ふた)をとつて見(み)た。遂(つひ)に彼(かれ)は卯平(うへい)の袋(ふくろ)を發見(はつけん)した。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「節惟当孟秋。忽爾説帰思。非是想蒓鱸。昨逢郷信寄。家翁報抱痾。胸臆真憂悸。」蘭軒は士彦の父の病の瘥(い)ゆべきを説いてこれを慰め、その再び江戸に来て業を畢(を)へむことを勧めてゐる。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「そうれお前等(めえら)注(つ)えで遣(や)んのにそんな小鉢(こばち)なんぞ桶(をけ)の上(うへ)さ突出(つんだ)させちや畢(を)へねえな、それだらだら垂(た)ツらあ、柄杓(ひしやく)そつちへおん出(だ)して行(や)るもんだ」
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)