玉杓子たまじやくし)” の例文
博士は大学の次ぎには、湯屋が好きだが、湯に入つて附近あたりに人が居ないのに気がつくと、きまつてお玉杓子たまじやくしの様な恰好をして、湯の中を泳ぎ廻る。
玉杓子たまじやくしみづいきほひにこらへられぬやうにしては、にはかみづひたされてぎんのやうにひかつてきしくさなかかくれやうとする。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
木偶之坊でくのばうこしらへれば、内職ないしよくにお玉杓子たまじやくしつたでがす。獅子頭しゝがしら閻魔様えんまさま姉様あねさまくびの、天狗てんぐめん座頭ざとうかほ白粉おしろひればべにもなする、青絵具あをゑのぐもべつたりぢや。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おつぎはなべおろして茶釜ちやがまけた。ほうつとしろ蒸氣ゆげなべなかをお玉杓子たまじやくしで二三てゝおつぎはまたふたをした。おつぎは戸棚とだなからぜんしてあががまちいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なべなかすこしぷんとこげつくにほひがした。かれはお玉杓子たまじやくしてた。なべそこうごかすごとにぢり/\とつた。かれわづかあつ雜炊ざふすゐ食道しよくだう通過つうくわしてちつくときほかりとかんじた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)