“煙筒”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
えんとつ62.1%
えんとう17.2%
けむりだし3.4%
ゑんとう3.4%
エンコ3.4%
キセル3.4%
チェムニー3.4%
チム子ー3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
肴屋さかなや、酒屋、雑貨店、その向うに寺の門やら裏店うらだなの長屋やらがつらなって、久堅町ひさかたまちの低い地には数多あまたの工場の煙筒えんとつが黒い煙をみなぎらしていた。
蒲団 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
六千四百とん巨船きよせんもすでになかばかたむき、二本にほん煙筒えんとうから眞黒まつくろ吐出はきだけぶりは、あたか斷末魔だんまつま苦悶くもんうつたへてるかのやうである。
『おゝ、それなら、あの電氣燈でんきとう澤山たくさんかゞやいて、おほきな煙筒けむりだしが五ほんも六ぽんならんでところは——。』
いまのこ賊船ぞくせんたゞせき! れぞ二本にほん煙筒ゑんとう二本にほんマスト海蛇丸かいだまる! 海蛇丸かいだまる最早もはやかなはじとやおもひけん、はたき、黒煙こくゑん團々だん/\橄欖島かんらんたう方向ほうかうげてくを、海底戰鬪艇かいていせんとうていいまなみしづまでもなく
それから煙筒エンコに入れている液へ——つまり一回分の鴉片液なのだが、その中へ煙千子を入れ、鴉片液を煙千子の先へ着け、それを煙燈の火にかざした。つまり鴉片を煉り出したのだ。
鴉片を喫む美少年 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
すぐ女が薄い座蒲団ざぶとんと煙草盆とを持って来ます。高座に近く、薄暗い辺に座を占めて、すぐ煙筒キセルをお出しになります。家では煙筒をお使いになりませんから、珍しいと思って見詰めていました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
何時も厳しく機械的に組合わさっている通風パイプ、煙筒チェムニー、ウインチの腕、り下がっている川崎船、デッキの手すり、などが、薄ぼんやり輪廓をぼかして、今までにない親しみをもって見えていた。
蟹工船 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
いまぼうこく軍艦ぐんかんからの探海燈たんかいとう其邊そのへんくまなくてらしてるので、その甲板かんぱん裝置さうちなどもるやうにえる、このふね噸數とんすう一千とんくらゐ船體せんたい黒色こくしよくられて、二本にほん煙筒チム子ー二本にほんマスト軍艦ぐんかんでないことわかつてるが