“撃(ぶ)” の例文
石火矢を撃(ぶ)ちこんでも、みぐるしい狼狽(うろた)えはしそうもない緊張が見える。鉄の塀が徐々と船に添って行くようにも見えるのである。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「先刻(さっき)お勝手へ参りましただが、お澄さんが、まだ旦那方、御飯中で、失礼だと言わっしゃるものだで。」——「撃(ぶ)つぞ。出ろ。ここから一発はなしたろか。」
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
やア喜右衞門(きえもん)どん、今なア二居ヶ峰にえれえ事がありやしたア、己(おら)アとな彌右衞門(やえもん)と二人での、帰(けえ)るべえと思ったら、えれえ熊ア出やした、撃(ぶ)つべえと思うと
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「これは細かい金物の細工をする時使ふもので、これを彈丸の代りに撃ち込めば、煙硝が弱いと人間の身體を撃(ぶ)ち拔く筈は無い。うまい人殺し道具を考へたもので」
此処は私が遊び処、お前がたに指でもささしはせぬ、ゑゑ憎くらしい長吉め、三ちやんを何故(なぜ)ぶつ、あれ又引たほした、意趣があらば私をお撃(ぶ)ち、相手には私がなる
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「有ますとも。足の傷はあれでなかなか馬鹿にならん。現在、私の甥(おい)がそれだ——撃(ぶ)ち処(どこ)が悪かったと見えて、直に往生(まい)って了った。人間の命は脆(もろ)いものさ……見給え、この虫の通りだ」
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この油断を見たルパンは、手をあげたと思うと、撃(ぶ)っ放した。
「これは細かい金物の細工をする時使うもので、これを弾丸の代りに撃ち込めば、煙硝が弱いと人間の身体を撃(ぶ)ち抜く筈はない。うまい人殺し道具を考えたもので」
お父さまは鉄砲で撃(ぶ)ッ殺されたって、何とハア魂消た訳でがんすな、お便り少ねえ嬢さまゆえ、嘸(さぞ)哀(かな)しかんべえと勇助どんと話しいして居やしたが、実にお気の毒なわけで
それでも己(お)れが憎くまれて、己れが喧嘩(けんくわ)の相手だもの、お祖母(ばあ)さんが呼びにさへ来なければ帰りはしない、そんなに無暗(むやみ)に三五郎をも撃(ぶ)たしはしなかつた物を、今朝(けさ)三五郎の処へ見に行つたら
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
喜「悪いとも/\、たとい間違いでも人を撃(ぶ)っ殺すと、自分の首さアおっ飛ぶぞ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
夫(そ)れでも己(お)れが憎(に)くまれて、己(お)れが喧嘩(けんくわ)の相手(あいて)だもの、お祖母(ばあ)さんが呼(よ)びにさへ來(こ)なければ歸(かへ)りはしない、そんなに無暗(むやみ)に三五郎(らう)をも撃(ぶ)たしはしなかつた物(もの)を、今朝(けさ)三五郎(らう)の處(ところ)へ見(み)に行(い)つたら
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「おや、錢形の親分だ相で、——お頼みだけのことはしましたよ。腑分けと言つた大袈裟なことは出來ないが、幸ひ彈丸の代りに撃(ぶ)ち込んだ、細い鏨(たがね)が、胸の近くまで脱けかけて居たので、すぐ搜り當てゝ取出して置きました。これですよ」
側に女さア附いているだて撃つことが出来ねえだ、己ア大(でけ)え声で、女郎(めろう)退(ど)けやアと喚(がな)っても退かねえでな、手を合せて助けてくれちッて泣くでえ、女郎退かねえば撃(ぶ)っ殺すぞと云っても逃げねえだ
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
意趣(いしゆ)があらば私(わたし)をお撃(ぶ)ち、相手(あいて)には私(わたし)がなる、伯母(おば)さん止(と)めずに下(くだ)されと身(み)もだへして罵(のゝし)れば、何(なに)を女郎(じよらう)め頬桁(ほうげた)たゝく、姉(あね)の跡(あと)つぎの乞食(こじき)め、手前(てめへ)の相手(あいて)にはこれが相應(さうおう)だと多人數(おほく)のうしろより長吉(ちようきち)
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「おや、銭形の親分だそうで、——お頼みだけのことはしましたよ。腑分けと言った大袈裟なことは出来ないが、幸い弾丸の代りに撃(ぶ)ち込んだ、細い鏨(たがね)が、胸の近くまで脱けかけていたので、すぐ捜り当てて取出して置きました、これですよ」