召物めしもの)” の例文
「先日のお召物めしものを仕立直してまいりました。あちらへ置いてまいりましょう。ついでにお茶でも入れてまいりましょうか。」
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
恭助あるじいたつかれて禮服れいふくぬぎもへずよこるを、あれ貴郎あなた召物めしものだけはおあそばせ、れではいけませぬと羽織はをりをぬがせて、おびをもおくさまづからきて
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すると大山守命おおやまもりのみことは、おひきつれになった兵士を、こっそりそこいらへかくれさせておおきになり、ご自分は、よろいの上へ、さりげなく、ただのお召物めしものをめして
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
と云うと、いつもはお召縮緬めしちりめん召物めしものだが、今日は渋いおなりをして見せようと思ってと、又モヤ/\として
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
すると妻君箪笥たんす抽斗ひきだしから料理屋の受取書を出して、これは先日貴郎あなたのお召物めしものたたんだ時たもとから落ちましたが料理代の外に芸者の玉代ぎょくだいと祝儀立替二円と書いてあります。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
かおはどちらかといえば円顔まるがおるからにたいそうお陽気ようきで、お召物めしものなどはいつもおもった華美造はでつくり、丁度ちょうどさくらはなが一にぱっとでたというようなおもむきがございます。
「お前、この方の外套とお召物めしものをあちらへ持って行ってね、ず初めに、亡くなった旦那様によくそうしてあげたように、火で乾かしてから、刷毛をかけて、はたいておくんだよ。」
夫人おくさん夫人おくさん。ああ好い夫人だ。お美しいお顔だ、お立派なお召物めしものだ。」
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それで皇子も、わざわざお召物めしものの下へよろいをお着こみになりました。そして弓矢ゆみやを取っておうまをすなり、大急ぎでみこのあとを追ってお出かけになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
此方こちらうちは貴方のお家より、余程よっぽど大尽だいじんですから、召物めしものでもお腰のものでも結構なのが沢山ありますよ
召物めしものれますとふを、いゝさまづさせててくれとて氷嚢こほりぶくろくちひらいてみづしぼ手振てぶりの無器用ぶきようさ、ゆきすこしはおわかりか、兄樣にいさんつむりひやしてくださるのですよとて
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
召物めしものは白い上布かたびらであらいがすりがありました。
大塚楠緒子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
大郎女おおいらつめにまれなお美しい方で、そのきれいなおからだの光がお召物めしものまでも通して光っていたほどでしたので、またの名を衣通郎女そとおしのいらつめばれていらっしゃいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
のみめづらしいとはおもひませぬけれど出際でぎは召物めしものそろへかたがわるいとて如何いかほどびても聞入きゝいれがなく、其品それをばいでたゝきつけて、御自身ごじゝん洋服ようふくにめしかへて、あゝ私位わしぐらゐ不仕合ふしあはせ人間にんげんはあるまい
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
婆「大丈夫でございますよ、ついでに召物めしものもお着せ申しましょうか」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
國「源さまこの印籠いんろうをおげなさいよ、この召物めしものを召せ」