値切ねぎ)” の例文
なに任務にんむだからと、何樓なにやかのまへで、かけつて、値切ねぎつて、ひきつけへとほつてさけると、階子はしごちうくらゐのおのぼ二人ふたり、さつぱりてない。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうして買ふとも何とも云はないうちに値切ねぎつて買つて仕舞ふ。其代り縁日ものを買ふ事なんぞは上手でね。あいつに買はせると大変安く買へる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ヘヽーうでげせう、三しゆぐらゐにはまかりますまいか。坊「焼場やきば値切ねぎるものもないもんだ、きまつてるよ。金「ナニ本当ほんたうけないでもよろしいんで。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
わたしたちのかけ合い人は百七十フランまで値切ねぎった。百姓は二百八十フランまでまけた。この値段ねだんまで下げてくると、獣医は雌牛めうしをもっと批評的ひひょうてきに調べ始めた。
新しいむしろ筍掘器たけのこほり、天秤棒を買って帰る者、草履ぞうりの材料やつぎ切れにする襤褸ぼろを買う者、古靴を値切ねぎる者、古帽子、古洋燈、講談物こうだんものの古本を冷かす者、稲荷鮨いなりずし頬張ほおばる者
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「僕もそういって十番だけ値切ねぎってみたんです。十番ぐらい上になっていないと危ないですからね。しかし照彦様は『十番ならおトンカチのとんがりで十だぞ』とおっしゃいました」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
余り高いから少し値切ねぎって話をしようと思うと相手にしない。そこで巡査に頼んだところが「馬車は到底駄目でしょう。ほとんどない位の話だから」といって荷持にもちを一人世話してくれた。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
くと三圓九十錢さんゑんきうじつせんで、まあ、それはせんのよりはやすい。が、此奴こいつきなり女房かみさんは、十錢じつせん値切ねぎつて、三圓八十錢さんゑんはちじつせんにおけなさいとつたんです。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
縁日へひやかしになど行くと、急に思い出したように、先生松を一鉢ひとはちお買いなさいなんて妙なことを言う。そうして買うともなんとも言わないうちに値切ねぎって買ってしまう。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
本人ほんにんは、引手茶屋ひきてぢややで、勘定かんぢやう値切ねぎられたときおなじに、これ先方むかう道具屋だうぐや女房かみさん)も感情かんじやうがいしたものとおもつたらしい。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「なに、御拂おはらひ何時いつでもいんです」と受合うけあつてれた。宗助そうすけはとう/\御米およねのために銘仙めいせんを一たんことにした。主人しゆじんはそれを散々さん/″\値切ねぎつて三ゑんけさした。織屋おりやけたあとまた
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
道具屋だうぐや女房かみさんは、十錢じつせん値切ねぎつたのをしやくさはらせたのにちがひない。」
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)