二夜ふたよ)” の例文
五日、七日なぬか二夜ふたよ、三夜、観音様の前にじっとしていますうちに、そういえば、今時、天狗てんぐ※々ひひも居まいし、第一けもの臭気においがしません。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其の記念の方がれだけ深く忘れられなかつたか、其の事實だけを承認して貰へばよいのだ。一夜ひとよ二夜ふたよ、三日目のには別れてしまつた。
歓楽 (旧字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
搖上ゆりあ搖下ゆりおろ此方こなたたゞよひ彼方へゆすれ正月四日のあさこくより翌五日のさるこくまで風は少しもやま吹通ふきとほしければ二十一人の者共は食事しよくじもせす二日ふつか二夜ふたよ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
われ、こしかた行く末を語らば二夜ふたよを重ぬとも尽きざらん、行く末は神知りたもう、ただ昨日きのう今日きょうの物語となすべし、泣くも笑うもたれをはばからんや。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
実に二夜ふたよと一日、三十六時間の豪雨はいかなる結果をきたすべきか。翌日は晃々と日が照った。水は少しずつ増しているけれど、牛の足へもまだ水はつかなかった。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
それとも知らず自分の弁当は流してしまい、旦那の持って居なさる弁当箱には秋田屋のしるしがござんすから、二日二夜ふたよさのひもじさにうっかり喰ったのが天道様てんとうさまばちでござんしょう、旦那
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
旭川に二夜ふたよ寢て、九月二十三日の朝釧路くしろへ向ふ。釧路の方へは全くの生路である。
熊の足跡 (旧字旧仮名) / 徳冨蘆花(著)
旭川に二夜ふたよ寝て、九月二十三日の朝釧路くしろへ向う。釧路の方へは全くの生路である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
我れはそのそでをつとらへて放つ事をなすまじく、母はうれしさに物は言はれで涙のみふりこぼし給ふや、父はいかさまにし給ふらんなど怪しき事を思ひよる。かくて二夜ふたよばかりは鳴きつ。
あきあはせ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
原因は電線の発火にさふらひき。それよりのち二夜ふたよは満船らふの火の光に夜をてらし続けられさふらふ。くらがりの海をそとに漏りがたき弱き火をけて船の進みくさま、昔の遠洋とほやう航海のさまも思はれ申しさふらひき。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
さぬ二夜ふたよ名しらぬ虫をに飼ひぬ寝がての歌は彼れに聞きませ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
二夜ふたよ三夜みよこそ円寝まろねもよろし。
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
駐輦ちゅうれんは、二夜ふたよにわたった。
ほんの二夜ふたよの月なれど
海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
四谷よつやつけの二夜ふたよ露宿ろじゆくからかへつたばかり……三日みつか午後ごご大雨おほあめに、ほねまでぐしよれにつて、やがてかへたのち冷々ひえ/″\しめつぽい、しよぼけた身體からだを、ぐつたりとよこにして
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ツウルの二夜ふたよ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
あと二夜ふたよばかりは、空模様を見て親たちが出さなかった。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)