上京じやうきやう)” の例文
上京じやうきやうして、はじめの歸省きせいで、それが病氣びやうきのためであつた。其頃そのころ學生がくせい肺病はいびやうむすめてた。書生しよせい脚氣かつけ年増としまにもかない。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自分じぶん病氣びやうきはその上京じやうきやうして、すぐに結核性けつかくせい關節炎くわんせつえんだといふことがわかつたのだと、まちは、ふとをつとかほながらかんがへた。そのとき、まちはもはやあがることが出來できなかつた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
かれはしばらく奈美子なみこ同棲どうせいしてゐた郷里きやうり世帯しよたいをたゝんで、外国ぐわいこくへわたる準備じゆんびとゝのへるために、そのとき二人ふたり上京じやうきやうして、竹村たけむらちかくに宿やどつてゐた。かれなんとなくいら/\してゐた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
當將軍家の御落胤らくいんにて既に大坂城代より江戸表へも上申に相成御左右ごさう次第しだい江戸へ御下向ごげかう御積おんつもり其間に京都御遊覽いうらんの爲め上京じやうきやう此段町奉行にも心得有べき筈不屆至極ふとゞきしごくの使者今一言申さばと威丈高ゐたけだか遣込やりこめ其上汝知らずや町奉行所はとがざい人の出入する不淨ふじやうの場所なり左樣なるけがれし場所へ御成を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おなじとしふゆのはじめ、しも緋葉もみぢみちを、さわやか故郷こきやうから引返ひつかへして、ふたゝ上京じやうきやうしたのでありますが、福井ふくゐまでにはおよびません、わたし故郷こきやうからはそれから七さきの
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
翌年よくねん一月いちぐわつ親類見舞しんるゐみまひに、夫人ふじん上京じやうきやうする。ついでに、茅屋ばうをく立寄たちよるといふ音信たよりをうけた。ところで、いまさら狼狽らうばいしたのは、そのとき厚意こうい萬分まんぶんいちむくゆるのに手段しゆだんがなかつたためである。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
上京じやうきやうするのに、もうひとつの方法しかたは、金澤かなざはから十三里じふさんり越中ゑつちう伏木港ふしきかうまで陸路りくろたゞ倶利伽羅くりからけんす——伏木港ふしきかうから直江津なほえつまで汽船きせんがあつて、すぐに鐵道てつだうつゞいたが、まをすまでもない、親不知おやしらず
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)