“しかん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
弛緩57.3%
芝翫13.7%
祠官4.3%
士官3.4%
屍姦3.4%
子罕1.7%
史渙1.7%
仕官1.7%
指間1.7%
止観1.7%
鷙悍1.7%
仕宦0.9%
史館0.9%
屍棺0.9%
志閑0.9%
摯悍0.9%
死諫0.9%
死間0.9%
莿冠0.9%
視官0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
こんな実例から見ると、こうした種類の涙は異常な不快な緊張が持続した後にそれがようやく弛緩しかんし始める際に流れ出すものらしい。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
五十円で買われて来た市川某尾上某の一座が、団十菊五芝翫しかん其方退そっちのけとばかり盛に活躍する。お米は近眼の彼には美しく見えた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
六月十六日竹渓は再び松平冠山に随伴し、同じくその眷遇けんぐうこうむっていた人々と共に佃島住吉つくだじますみよし神社の祠官しかん平岡氏の海楼に飲んだ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
市ヶ谷いちがや士官しかん学校のそばとかに住んでいたのだが、うまやなどがあって、やしきが広過ぎるので、そこを売り払って、ここへ引っ越して来たけれども
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
屍姦しかんだとか、人形をもてあそんだりする人達の気分が、なんだか判るような気がしたことである。
人造物語 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「捨ておけまい。史渙しかん、そちの一部隊を、犬山にあてて、眭固けいこを打ち取れ」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おなじ武家ぶけ仕官しかんをするなら、足軽あしがるでも徳川家につけ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
知者は三千里外にその臭を避け、昧者まいしやは一弾指間しかんにその毒にあたる。思ふに是泥黎でいり口業こうげふ羅貫中らくわんちう水滸伝すゐこでんを作つて、三生唖子さんせいあしを生むとせば、寿陵余子また骨董羹を書いて、そも如何いかん冥罰みやうばつをか受けん。
源氏物語にも言辞事物げんじじぶつの注のほかに深き観念あるを説いて止観しかんの説という。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
次に「見崩れ」というのは敵と対陣はしても、敵の潮の如く雲の如き大軍、又は勇猛鷙悍しかんの威勢を望み見て、こいつはかなわないとヒョコスカして逃腰になり、度を失い騒ぎかえるのである。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
周禎が矢島氏を冒した時、長男周碩は生得しょうとく不調法ぶちょうほうにして仕宦しかんに適せぬと称して廃嫡を請い、小田原おだわらに往って町医となった。そこで弘化二年生の次男周策が嗣子に定まった。当時十七歳である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
文久三年に柏軒が歿してからは家に帰っていて、今仕宦しかんしたのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
たとえば、江戸表の彰考館しょうこうかん——小石川のおやしきの史館しかんなどには、大日本史だいにほんし編纂のお係りとして、当代の学者はほとんど網羅されておるでしょうが、まあ、あの仲間をごらんなさい。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たじたじとなって彼はあおざめたのである。人々の前にあるのは屍棺しかんであった。北向きの壁に寄せてまつられ、包まれた白い布に、取りあえず松の葉が投げかけられていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
彼は暖かい同情をもって、宋の末山尼了然まつさんにりょうねんがいかに志閑しかん禅師を教化したか、また仰山きょうざんの弟子妙信尼みょうしんにがいかに十七僧に痛棒を喰らわせたかを語った。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
しかもその弁護人が摯悍しかん矯直けうちよくにして裁判官を面責することを恐れざる放胆をあらかじめ示して置いたときである。
公判 (新字旧仮名) / 平出修(著)
主君の御無理は分かっていることじゃが、この場合腹をかっ切って死諫しかんを進めるのが、臣下としての本分じゃ。他の二人はよう心得ているに、与四郎めは女房を取られたので血迷うたと見える。
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
小田原北条の死間しかん(わざと斬られる間者)のたくみか、それともまことに尾越どのにご謀叛のくわだてがあるか、殿このたびの御出馬直前より
城を守る者 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
昔は親を殺したり主人をあやめたりする人間の名前の上に、悪というけがれた文字をのっけて、その悪を死歿の後の莿冠しかんとしていた。悪七兵衛君、悪源太君もみなそういう武人であった。
蜜のあわれ (新字新仮名) / 室生犀星(著)
脳髄のうずいや、視官しかん言語げんご自覚じかく天才てんさいなどは、ついにはみな土中どちゅうはいってしまって、やがて地殻ちかくとも冷却れいきゃくし、何百万年なんびゃくまんねんながあいだ地球ちきゅうと一しょ意味いみもなく、目的もくてきまわくようになるとなれば
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)