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こゝろづよ
其庖丁のとん/\と
鳴る
間に
忙しく
八人坊主を
動かしてはさらさらと
藁を
扱く
音が
微かに
交つて
聞える。お
品は
二人の
姿を
前にして
酷く
心強く
感じた。
燈のかげ
少し
暗きを
捻ぢ
出す
手もとに
見ゆるは
殿の
名、よし
慝名なりとも
此眼に
感じは
變るまじ、
今日迄封じを
解かざりしは
我れながら
心強しと
誇りたる
淺はかさよ
れて
憚りさまといひも
敢ず
更けぬ
内にお
急ぎなされなまなかお
止め
申さずば
是れ
程に
積るまいものお
氣の
毒のこといたしたりお
詫はいづれと
送り
出す
門口犬の
子の
聲恐ろしけれど
送りの
女中が
骨たくましきに
心強くて
軒下傳ひ
三町ばかり
御覽なされませあの
提灯は